情報コースの概要

 現代は情報化社会といわれています。皆さんも、きっと、このような言い方には耳に馴染まれ親しまれて久しいことかと思います。情報化社会という言葉自体、使われだしてもうかなりになりますから、今ではすっかり古い言葉に定着してしまった感があります。にもかかわらず、情報化社会の進展は、未だ止まるところを知らず、情報格差(デジタルディバイド)という社会問題を含みながら加速化しています。

 「マルチメディア」は昨今のマスコミを賑わし、一種の流行り言葉となっています。各種のリポートにおいても、これをあおるかのように、来る2010年には、マルチメディアは123兆円の市場規模、また243万人の雇用創出が見込まれるとバラ色の未来像が描かれています。このととてつもない大きな数字は、いささか驚きをもって受け止められたものでした。「デジタル」、「光ファイバー」、「情報ハイウェー」等々とその勢いは止まるところを知りません。そして携帯情報端末や第3世代の携帯電話、情報家電などの登場により、21世紀は高度に発達した情報化社会(高度情報化社会)を迎えるということが、いよいよ現実のものとなりつつあります。高度情報化社会の到来・浸透は、社会を、企業を、そして市民生活を一変させるに違いありません。うかうかしていると置いてきぼりをくう大変な世の中になりましょうが、逆にまた、緊張と生きがいに満ち満ちた魅力あふれる世紀でもありましょう。その21世紀を生きるのは、他ならぬ、皆さん方なのであります。うらやましいと思います。

 松山大学生、とりわけ経営学部生としても、21世紀をたくましく生き抜き活躍するためには、高度情報化社会に適応する能力を身につけておくことは必須条件であることは言うまでもないことでしょう。経営学部のコースのうち情報コースは、まさにこのために、このことを念頭に置かれているといってよいのです。

 情報化社会の中核となる技術、それはまぎれもなく情報科学と共に発展してきた「コンピュータ」です。情報化社会はコンピュータ社会と言い換えることもできます。経営学部の皆さんには、新入生の時、全員に(ノート型)パソコンの購入をお願いしてきています。経営学部生なら、コースに関係なく、全員がコンピュータに慣れ親しみ、活用しうる能力を身につける必要があるからです。

 一昔前までは、コンピュータ(あるいは情報処理)教育といえば、イコール、プログラミング教育と相場が決まっていました。そしてそれは、コンピュータを専門とする人向けの特殊な教育であり、それに誰も疑問を差しはさむこともなかったのです。しかし、最近は、状況は一変してきています。現在は、コンピュータの機能は格段にアップしています。にもかかわらず、価格は大幅にダウンしています。またわざわざ苦労してプログラミングしなくても、汎用の優れたアプリケーション・ソフトが流通しています。専門家のものだけでない、一般市民レベルのものになったのです。今では、コンピュータは、快適な市民生活を営むのに欠かせない必需品となってきています。この優れた事例が、ほかでもない皆さんのお手元のパソコンにあります。パソコンを実際に見てみると、コンピュータが、単なるプログラミング機から、本来のデータ加工機能に加えて、新たに、自己表現・プレゼンテーションの手段として、また情報収集(含む、発信)の道具としての機能を創出しつつ、多角的な道具に進化してきていることが分かります。従来までの整理を主目的とするルーチン業務だけでない、活用の仕方によっては、創造的・独創的な仕事も可能となるのです。そしてインターネットの登場により、国内はもとより世界中の情報が瞬時に入手できるようになりました。こんな便利な機能をみすみす見逃す手はないでしょう。という訳で、みなさんには、全員コンピュータを持ってもらい、これに習熟していただくことになっています。

 情報コースは、それではコンピュータの勉強をするのか、と何となく漠然と理解されたかもしれません。しかしこれは必ずしも正確ではありません。コンピュータ、とりわけアプリケーション・ソフトの使い方などそんなに時間がかかるものではないでしょう。むしろ、問題はそれから先、なのです。データ加工、自己表現、情報収集(発信)の仕方を学んだとしても、それは、結局は、手段にすぎません。問題なのは、その中身(内容)であり、また目的です。情報コースは、必要なときに最善の方法でいつでも行使できるようコンピュータ利用技術を磨きながら、経営の高度化・良質化のために寄与すべき方法論と理論を学ぶ学問体系なのです。情報コースの学習を、次に、目的別・分野別に箇条書きして示します。

  • コンピュータの利用技術に一層磨きをかけます。
  • 情報科学の視点から、コンピュータのハード・ソフト両面の理論を学びます。
  • プログラミング技術を学びます。上を含めてコンピュータの専門家になるには、依然、大切な科目です。国家試験である「情報処理技術者試験」でも一部出題があります。
  • 合理的・科学的経営のための理論と手法を学びます。
  • コンピュータと社会や経営との関わりについて学びます。
  • 各種の情報関連資格で必要なスキルを身に付けます。
 上で合理的・科学的という言い方をしました。定性的、観念的、叙述的でなく、定量的、実用的、数学的という言葉で言い換えられましょうか。また、コンピュータ・プログラミングにしても論理的な思考が要求されます。情報コースは、経営学部内では、一番理数系寄りとのイメージがなされるとしたなら、それを敢えて否定しません。しかし、高度な数学は使いません。数学的センスさえあれば十分です。さあ、みなさん、情報コースで共に学びましょう。