会計コースの概要

 大学で学ぶ会計関係の分野は、簿記、財務会計論、原価計算論、管理会計論、会計監査論、経営分析、税務会計論などがあります。これについては、次の図を見て下さい。


 企業は利益の獲得のために資金を投下し、財を調達し、生産過程に投入して製品を製造し、それを販売して投下した資金以上のものを回収します。この経済活動を効率よく合理的に遂行するために、事前にさまざまな計画を立て、その計画にしたがって活動が行われるように統制するのを学ぶ「管理会計論」があります。そして、その経済活動がどの程度うまくいき、どの位の利益が出たかを知るため、目標と実績との比較が必要です。そのためにはデータが必要ですが、製造活動のデータと販売活動のデータを簿記(「簿記原理」、「商業会計論」、「工業会計論」)によって得ます。得られたデータをもとに分析し(「経営分析」)、経営者は新たな計画を策定します。また、激しい競争のもとでは製品の原価を下げなければ利益は望めません。そこで原価計算が重要な課題となります(「原価計算論」)。また製造・販売活動には資金が必要ですが、この資金の不足がおこらないように計画的に運用することを学ぶのが「資金会計論」です。このように、経営者の判断の資料として経済活動を数値的に把握するのが会計の一つの役割です。

 このような資料はまた、企業外部への情報として提供されます。これによって外部の利害関係者はその企業の経営効率とか利益や財産の額を知ることができます。それは財務諸表といわれるものによって行われます。しかし、この場合には法律的な制約があります。会社法と金融商品取引法による会計のルールにしたがってデータが加工されます。企業内部での会計は自分が心でいろいろなことを考える場合と同様、制限はありませんが、これを他人に伝えようとすれば、言葉という共通の決まりを守らなければ、意思の伝達は不可能なように、一定の決まりを守って伝達することが要請されているのです。このルールについて、なぜそのようなルールがあるのか、あるいはそのルールとは適切なものかということを研究するのが財務諸表論(「財務会計論」)です。しかし、この財務諸表は企業の経済活動を適正に表現しないことがありえますので、企業とは利害関係のない独立の第三者である公認会計士によって財務諸表は企業の内容を適正に伝えているかどうかが調べられ、それについての意見が述べられるようになっています(「会計監査論」)。適正であるとの意見であれば、その財務諸表は信頼できるのです。この財務諸表は株主や債権者に公開されます。このような外部への報告の役割も会計はもっています。また企業は税金の申告をしなければなりません。その時に税理士が申告書の作成の手助けをする事があります。この申告書は税法のルールに従って作成されます。これについて研究するのが「税務会計論」です。また、この財務諸表はいろいろな角度から分析されて、企業の特徴や健康状態などが判断されます。これが「経営分析」と呼ばれるものです。

 なお、経営学部には、このほか、会計全般について基礎的理論を学ぶ「会計学通論」、情報化に対応して、パソコン利用による会計情報のデータ処理とその利用を学ぶ「会計情報解析論」、企業の国際化にともなう会計問題を扱う「国際会計論」、原書から会計学を学ぶ「外国書講読」、一橋大学や神戸大学など学外からの高名な教授による集中講義として「会計コース特殊講義」などの講義があります。

 会計を理解するためには、企業の活動が財務諸表に表現されるプロセスを理解する必要があり、まず商業簿記や工業簿記の初級の理解が必要です。そのため、簿記の授業が最初にありますが、簿記の力をつけたい人のために、松山大学では「簿記・会計講座」が開設されていますから、それを利用するのが時間的にもコスト的にも便利です。

 次にどのゼミを選ぶかですが、大きく分けると企業の活動のコントロールのために会計のデータを利用する管理会計部門か、会計のデータを外部に報告する財務会計部門か、あるいは税務の仕事につくことが予想されれば税務会計部門があります。会計士・税理士の試験を考えているのであれば、財務諸表論を研究する財務会計部門が適当でしょう。